事前に知っておこう!生殖補助医療の7つのリスク
生殖補助医療(ART)と呼ばれる治療を受けるにあたり、
リスクはどんなものがあるのでしょうか?
体外受精などにステップアップされた方は、
事前にきちんと知っておく必要がありますね。
今回は、以前生殖補助医療の勉強会に参加した時に聞いたお話を
元に、この治療のリスクについて、まとめてみました!
1、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
軽傷を含めると、体外受精1周期あたり起こる確率は、2~33%と
報告されているそうです。
原因は、過排卵刺激によって、過剰の卵巣ホルモンや各種※1サイトカインが
分泌され、その結果、血管内の水分が血管外に漏れ出してしまうことです。
血液が濃縮され固まりやすくなり、重症の場合には
血栓が出来ることもあるようです。
★重症例:血液製剤の投与、人口透析が必要になる場合がある。
※1サイトカイン・・・免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質
(参考:サイトカイン - Wikipedia)
2、麻酔の合併症
採卵時に、必要の応じ麻酔を使用します。(私も使用しました。)
麻酔の効き方には個人差があるようですが、アレルギーを起こしたり、
呼吸抑制や※2徐脈を起こしてしまう方もいるそうです。
※2徐脈・・・不整脈の一種
(参考:徐脈 - Wikipedia)
3、採卵時の卵巣周辺臓器損傷
卵巣のすぐ近くには内腸骨動脈・静脈という太い血管や、卵巣動脈、
子宮動脈という血管があります。この血管が傷つけられてしまうと、
腹腔内に大量の出血を起すことがあり、重症の場合は開腹手術となることも。
また、卵巣の周辺には腸管・膀胱といった臓器があり採卵時損傷を受けることが
あり、この場合も必要に応じて手術になるそうです。
4、多胎妊娠
体外受精における多胎妊娠率は、自然妊娠に比べるとやはり高率とのこと。
多胎妊娠の場合、早産や子宮内対峙発育遅延の頻度および、
妊娠高血圧症候群の発症も高くなるというデータもあるようです。
5、異所性妊娠
はっきりとした原因は不明とのことですが、体外受精後の
※3異所性妊娠の発生率は2.2~4.5%と報告されていて、
自然妊娠による発生率(0.3~0.7)に比べると高いそうです。
6、不妊遺伝子の伝達
特定の遺伝子の小さな欠損や変異などにより不妊症となるケースが
あることが近年わかってきたらしいのです。
この場合で妊娠した結果、子供に不妊形質が遺伝することもあるそう。
7、周産期リスク
妊娠後に、妊娠高血症候群や前置胎盤などの周産期リスクが
上昇するという報告があるそうですが、体外受精をされる方の
母体年齢などの要因が原因のリスク上昇ともいわれているそうです。
以上が、生殖補助医療をする上でのリスクになります。
じっくり病院の先生のお話を聞いていると、
なんとも恐ろしいリスクに感じてしまいます。
しかし、この治療をする以上は、きちんとリスクを理解して
治療に臨む責任が患者側にはあります。
また、こんなにもリスクを伴うのだからこそ、
夫婦できちんとステップアップする前に話し合うことが必要ですし、
信頼出来る先生や、自分に合う病院を探すことも重要なことだと思います。
つづく