KOEHIRO~声を拾う・広める~

【KOEHIRO】は、様々な「声を拾う」「声を広める」という意味を込めています。夫婦関係や両親との関係、自分が普段の日常で思うことや仕事に関してなど、幅広く様々なことを書いて行こうと思います!また、定期的に「KOEHIRO会」と「TSUNAGUカフェ」の運営もしておりますので、ご興味ある方は是非コメント下さい。

「共有」の重要性。妻の採卵失敗の日、夫は何を思ったのか?

私の第1回目の採卵は残念ながら、
全て※空胞に終わってしまいました。
(※空胞・・・卵はとれたけど中身がカラのこと。)

その時、夫はどんな気持ちだったのだろうか。
とある日、ふっとした会話から、夫の気持ちを聞けることになったのです。


私「今回残念だったね。」
夫「そうだね。でも、きっと大丈夫だよ。」
私「うん。」
夫「・・・」
私「はじめて麻酔したけど、一瞬で意識なくなっちゃってさ、
麻酔って怖いなーって思ったよ。酔っ払って意識なくなるとか言うけど、
あんな感じで意識なくなるのかね。」

(夫婦共々お酒が苦手なので、いつものように他愛のない会話)


夫「・・・。」


少しの沈黙のあと。


夫「あの日、麻酔で寝てるところを見て色々と考えたよ。本当に。」


(え?なんだか興味深い発言。)


私「そうなんだ。ちなみに何を考えたの?
  というより、あの日私が何やるからちゃんと理解してた?」
夫「うーん。正直あまり。とりあえず麻酔使うから迎えに行くってことくらいは。」


(まじか・・・散々治療についても話してきたのにそのレベルなのね。)


と思いつつも、夫の気持ちを知る良い機会だと思ったので、
そのまま話を聞くことにしました。

私「それでそれで?」
夫「あの日はね・・・」

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※ここからは、夫の話をもとに当日の夫側の
心境や体験したことを書いてみます。

〈採卵日当日〉

今日は「採卵日」という日らしい。
妻がいつもより早く起きて支度をしている。

妻の表情を見る限り、何だか不安と
楽しみが入りまじっているように感じられた。

私は、仕事のため妻より先に家を出る。

朝はいつも通り
私「じゃあ、行ってくるね。」
妻「今日のお迎えだけ、悪いけどお願いね。」
私「うん、大丈夫。時間になったら迎えに行くから。
  またあとでね。何かあったら連絡して。」
妻「ありがとう‼行ってらっしゃい。」

こうして私は、仕事に向かった。

その後、妻からLINEで
「神社にお参りに行った」ことや
「点滴がはじまった」ことの連絡がきた。

(きっと、はじめての麻酔だし、緊張してるんだろな。)

仕事の合間ということもあり、
サクっと返事を返す。


そして、迎えの時間になり病院に向かった。

私「迎えにきたんですが。」
看護婦さん「こんにちは。奥様はこちらで寝てます。ご案内しますね。」
私「お願いします。」

看護婦さんに案内されて病室のドアが開いた。


私「・・・」


真っ白な顔をした妻がベットに寝ていた。

看護婦さん「旦那様いらっしゃいましたよ。」

と妻に看護婦さんが呼び掛ける。

すると、妻が薄目を開けて


妻「あぁ・・・。麻酔って凄いね。一瞬で意識なくなっちゃって。
  起きたらもうベットの上だよ。」

とか細い声で言った。

見ると手には痛々しく刺さっている点滴。

(こんなに大変なことを妻はしていたんだ。)

はじめてその時、実感した。
あまりにも痛々しくて可哀想とも思ってしまった。

その後、私が仕事だったため、
妻は無理矢理起きようとしている。

前日の夜
「そのあとも仕事入ってるから、その時間までしかいれないよ。」
と言ってしまった。

無理矢理起きて、「時間大丈夫?」
「あと何分?」と心配しながら、
着替えをはじめた妻を見て
申し訳なく思った。

そして、妻の着替えが終わり
診察室に移動した。

そこで、
お医者さんから
「残念ですが、今回は卵がカラでした。」
「培養士が2名が何度も確認しましたが、ダメでした。」
と告げられた。

不安そうだったけど、この日を楽しみにしていた
妻のことを思うと、顔を見ることが出来なかった。

妻「そうですか。」
意外とあっさり答える。

お医者さん「今度はまた違う方法でやってみましょう。」
妻「・・・」

少しの沈黙のあと、歯を食い縛りながら
涙をこらえようとしている妻の姿。

ついに涙が溢れたようだった。
静かにポロポロと涙を流す姿に、
「大丈夫だよ。また一緒に頑張ろう。」としか言えなかった。


帰りも早く起きてしまったせいか
フラフラしていて、一人では歩けない様子。

吐き気もあったようで、
家に着いた瞬間、トイレに駆け込み嗚咽をしている。

(あぁ、俺は何も分かってなかった。)

そう思った。

その後、私は仕事があったため、
ソファに倒れこんだ妻の前に飲み物や食べ物を置いて、
「今日は早く帰ってくるから。」と言い残し、部屋を出た。

玄関で靴を履き、出ようとした時、
妻の泣いている声が聞こえてきた。
きっと、私が仕事だと言っていたので、
心配かけまいと、泣くのも我慢していたのだと思う。

とにかく、その後は色々と考えた。

妻のこと。
これからの2人のこと。
治療のこと。

そればかりを考えていた。

そして、帰宅・・・
既にソファからベッドに移って
寝ている妻が、私の足音で起きたようだった。


妻「おかえり。」
私「ただいま。」


いつもなら起き上がってくる妻も
今日はぐったりと寝ている。

私は妻のそばにいき
自分の想いを初めて話した。

私「ごめん。治療のこと何もわかってなかったね。
  今日、本当に思った。一人で頑張らせてしまっていたなって。」
 「でも、俺が結婚した理由は、(妻の名)と一緒にいたいからだから。」
 「子供が出来ないなんて思ってないし、諦めてないけど、
  万が一、2人の子供が出来なくても、
  2人で楽しく過ごせればそれで良いんじゃないかな。」
 「きっと、両親のことやおじいちゃんのことを想ってくれてるんだと思うけど、
  でも、2人の人生だし、2人が良かったらそれで良いんだよ。」

話ベタなので、上手いことは言えないけれど、
自分が思ったことを伝えてみた。

妻はシクシクと泣きながら「うん。」と答えた。


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※ここからは前の会話に戻る


夫「本当に何もわかってあげれてなかったなって、
  あの姿を見てようやくわかったよ。」

(来てもらって本当に良かった。そうやって思っていたんだ。)

と思ったと同時に、

(遅い。遅すぎる。散々、治療の大変さや副作用で体調崩したりしていたのに。)
(なんて鈍感なんだろう。というか、全然私の気持ちや、
やっている治療について共有出来てなかったのね。)

とも思ってしまいました。


私「そうだったんだ。でも今日は(夫の名)の気持ちがわかって良かったよ。」
私は、そう答えました。



これが普通なんだと思います。
やっぱり経験していない人には、わからないことや伝わらないことって沢山ある。

毎日、一緒にすごしている夫ですら、麻酔をして病院のベットに
横たわっている姿を見て、ようやく事の重要性や大変さを感じたというのが事実。


「伝えているようで、伝わってない。」これが現実。

「当事者意識を持て」という方が無茶な話なのです。


自分が100%伝えたつもりでも、相手は20%程度しか
理解出来ないのだと思います。

ただ、この治療に挑む夫婦にとって「共有」は本当に大事!!

それは、「妻から夫へ」という一方方向ではダメで、

「妻から夫へ。夫から妻へ。」の双方向でないと意味がないのだと思います。


結局、片方からの押しつけの「共有」では、相手に届かないのでしょう。

夫婦でお互いにその時「どう思ったか」「何を感じたか」を
話し合うことが重要なのだと思います。

最後に夫が
「でも、やっぱり俺には本当の(妻の名)の気持ちはわかってあげられないと思う。
 だからこそ、これからはちゃんと話聞くし、俺も思ったことを話する。」
と言いました。


不妊治療をする夫婦にとって「双方向での共有」は本当に大事。


採卵失敗で、私はまた一つ夫を理解することが
出来たことに感謝したいと思いました。


不妊治療は一人で戦うことではないのです。

私も、これからは夫婦一緒に相手を思いやりながら、
互いに「共有」することを大事にして、治療に挑んでいきたいと思います!



つづく